リン化アルミニウム輸出農産物への使用を巡る問題が物議を招いている。政府とANSES(国立食品・環境・労働衛生安全庁)との間で対応についての見解が対立している。
この問題は、ANSESがリン化水素の使用を禁止したと報道されたことをきっかけにクローズアップされた。リン化アルミニウムは、殺虫・消毒を目的とするくん蒸のための薬剤で、ANSESが、穀物など輸出農作物に使用することを禁止したと報じられた。実際には、ANSESが許可を出さなかったのは、リン化アルミニウムの固形剤を、船倉において農作物に直接接触する形で用いる行為に限定されている。この問題は、メーカーであるUPLが、直接接触の場合に残留農薬の濃度が欧州連合(EU)の基準値を超えるリスクがあるとの調査結果を示しつつ、直接接触の特例許可の付与を請求し、ANSESがこれに応じなかったことに端を発している。UPLは、EUに対して、基準値の引き上げを求める意向も表明している。リン化アルミニウムの使用は、容器に入れて直接に接触しないような形で行うという選択肢もあり、これはANSESも禁止していないが、フランス産小麦の主な輸出先であるアフリカ諸国においては、容器を廃棄物として適正処理するインフラがなく、この方法を認めていないという。
政府は11日の時点で、この問題で、穀物輸出を継続できるよう善処すると約束。ANSESに対して、販売許可を修正して直接接触を認めるよう圧力をかけている。ANSESの側では、EUの規則が認める特例措置は、販売許可の修正ではなく、政府が法令を通じて行うのが筋であり、ANSESの権限外だと主張して、政府と争っている。