2020年10月に発生した中学教諭サミュエル・パティさんの斬首事件で、事件の捜査を進めてきた全国管区テロ事件検事局(PNAT)は7日、未成年者6人を含む14人の起訴を請求した。
パティさんは、公民教育の授業の一環でイスラム教の預言者ムハンマドの戯画を扱ったが、これがSNS上で強いバッシングの対象となり、それがきっかけとなって、チェチェン出身の難民で、イスラム過激化を強めていた18才の男性により殺害された。犯人は警官隊により射殺された。事件は強い衝撃を与え、内外に波紋を招いた。
PNATは、犯人の武器調達に協力したり、事件当日の移動に力を貸すなどした2人の友人について、テロ協力の容疑で起訴を請求した。SNS上のバッシングを主導していたイスラム教宣教師と、パティさんの生徒の父親、そして犯人とネット上で連絡を取り合っていた人物も起訴が請求された。これら3人は、パティさんの特定を可能にする情報を流布するなどして、犯行を可能にした点を追及されているが、罪状にテロ協力の容疑は追加されなかった。これ以外では、ネット上でテロ扇動の言説を展開していた3人の起訴が請求された。未成年者では、パティさんについて虚偽の告発をして、事件の発端をつくった女子生徒(授業当日に欠席していたにもかかわらず、「イスラム教徒は教室の外に出ろとパティ氏が命じた」などと証言)が、父親と同様に起訴を請求された。あとは、犯行当日に、校門前で、犯人に金銭をもらってパティ氏に関する情報を提供していた5人の生徒の起訴が請求された。未成年者の6人は、未成年者の特別法廷で非公開にて裁判を受けることになる。