マクロン大統領は4月7日に中国の公式訪問を終了する。大統領は国賓待遇で5日より3日間に渡り中国を訪問。大統領が最後に中国を訪問したのは3年余り前に遡る。今回は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長も大統領に同行した。
マクロン大統領は、今回の訪中において、特にウクライナ問題に関する中国との協力関係の構築に意欲を示していた。大統領は訪問前に、「ロシアを正気に返らせる」上で中国の役割に期待すると言明していた。両国の首脳会談後に中国の習国家主席は記者会見で短いメッセージを読み上げたが、従来の中国の姿勢と比べて大差ない表現に終始した。「新たな状況の悪化を招きうる行為を一切控えて、和平の協議をできる限り早く行う」よう国際社会に向けて「フランスと共に呼びかける」旨を確認したのが新しい要素だったが、具体性や拘束力には乏しい表現となった。中国側はまた、ロシアがベラルーシに戦術核兵器を配備するとした発表を非難することにも応じなかった。両国の首脳会談後に、欧州委のフォンデアライエン委員長も交えた三者会談が行われたが、委員長は会談後の記者会見で、マクロン大統領よりも厳しい調子で、「中国が直接・間接にロシアに軍備を提供しないことを望む」と言明。中国と欧州の間の貿易不均衡や投資障壁についても是正が必要だと言明した。
なお、マクロン大統領には、企業の代表らが多数同行し、訪問の機会に一連の合意や契約の締結がなされた。エアバスは、中国の航空機リース会社から160機(A320シリーズが150機、A350-900が10機)の受注を正式に獲得。中国の天津工場において組み立てラインを1つ追加することを決定した。2025年までに生産ペースが2倍に引き上げられる。仏海運大手CMA CGMは、中国におけるバイオメタノール・Eメタノール燃料の調達について上海港の運営主体などとの間で合意。仏スエズ(環境サービス)は、万華化学集団(Wahnua Chemical)との間で、淡水化水の供給に関する合意を結んだ。EDF(仏電力)は、CGN(中国広核集団)との原子力発電分野の提携合意を更新し、洋上風力発電分野で、CHN Energy(国家能源集団)及びSPIC(国家電投)と提携合意を結んだ。仏GTT(エンジニアリング)はPipeChina(国家石油天然気管網公司)との間で、メンブレンLNGタンクの製造に関して提携合意を結んだ。仏化粧品大手ロレアルは、電子商取引大手アリババとの提携合意や、上海へのインキュベーターの設立などを決定した。