フランス中銀は5日、炭素課税強化などの政策に由来する物価上昇効果と国内総生産(GDP)への影響に関する推計を公表した。5年間の推移を予想した。
この推計では、エネルギー移行等の取り組みをどのように行うかについて4つのシナリオを定め、まったく取り組みをしなかったと仮定した場合との比較で、インフレ率と国内総生産がどのように推移するかの把握を試みた。
これによると、将来の展望を示さずに炭素課税を急激に引き上げた場合にネガティブな影響は最も大きくなる。5年後の時点で、インフレ率は0.6ポイント分の上昇を記録し、国内総生産は1.1ポイント分押し下げられる。公共部門がグリーン投資を大幅に増やすと仮定した場合のシナリオでは、5年後の時点で、インフレ率が0.2ポイント分の上昇を記録し、国内総生産には1.6ポイント分の押し上げ効果が得られる。ただし、インフレ率の押し上げ効果は、1年3ヵ月後に1.8ポイント分近くと、短期的には物価を大きく押し上げる影響を及ぼす。技術革新を民間部門が積極的に取り入れ、同部門のグリーン投資が大幅に拡大すると仮定した場合のシナリオでは、5年後にインフレ率が0.8ポイント分押し下げられることになり、国内総生産は逆に0.8ポイント分押し上げられる。ここでは、民間投資の増大が個人消費を締め出す効果をもたらし、インフレ率を押し下げることになるという。
中銀は、いずれにせよ、前もって展望を示した上で、秩序ある形で信頼性の高い政策を推進することが大切であり、そうすれば急激な影響を避けられると指摘している。