南仏の発掘現場から、先史時代の人類が残した遺物が出土した。女性器の絵を刻んだ石板も見つかった。
この発掘は、南仏ガール県のベルガルド市内で2016年に行われた。ローヌ川の西岸、ニーム市とアルル市のちょうど中間に位置する場所で、廃棄物処分場の造成に先立ち行われた考古学調査により、後期旧石器時代の石器や、絵画が描かれた石板が見つかった。女性器の石板は掌ぐらいの大きさの石灰岩で、1万8000年前のものと推定される。「山」という漢字を、曲線を多くして書き直したような形の図案と、その両側にそれぞれ2本の平行線のようなものが描かれている。平行線は左右の脚部を象ったものと考えられる。1万8000年前という時代は、ラスコー洞窟壁画とほぼ同時代といい、この時代に描かれた女性器の絵と共通性があるが、2本の脚の間に女性器を描いた例はこれが初めての発見であるという。同じ発掘現場からは、さらに古く、2万2000年前に描かれた馬など動物の石板も発見されたが、土中に突き刺すような形で見つかった石と石板の断面が一致することから、絵画を描いた石を地面に立てていたと考えられる。洞窟以外で絵画が行われた例は乏しく、新たな光を投げかける発見となった。