3月26日から29日まで予定されていた英国のチャールズ3世国王の訪仏が延期となった。24日に両国政府が発表した。
チャールズ国王は、即位後の初の外遊先としてフランスを選び、国賓待遇で公式訪問する予定だった。ベルサイユ宮殿での晩餐会や、英国とゆかりのあるボルドー市の訪問などが予定されていた。欧州連合(EU)離脱後のEUとの関係構築をにらんで、フランスとドイツを続いて訪問するはずだった。しかし、フランス国内では、年金改革反対派による抗議行動が続いており、特に28日(火)に再度、全国でデモ行進とストライキが行われることを踏まえて、仏政府は、適切な警備体制を整えることが困難だと判断し、英国側に延期を要請したという。両国政府は共同での決定として延期を発表した。マクロン大統領にとっては、国内の混乱が長引いたために外交上の失点を喫したことになり、不本意な結果となった。
これと関連して、25日には、ドゥーセーブル県内で環境派による貯水池整備反対の抗議行動があり、治安部隊との大規模な衝突に発展した。環境派は、県内の大規模な農業用貯水池の整備計画について、地下水系への水の供給を断ち、環境を破壊する大規模農業を行う一握りの農業経営体のみに益する理不尽な施設だとして貯水池の整備に反対している。25日にサントソリーヌ村には当局発表で6000人程度が集結、整備予定地を防衛する治安部隊との間で大規模な衝突が発生した。デモ隊に加わった過激分子が花火や火炎瓶などで治安部隊を攻撃、治安部隊は催涙弾や、包囲を解くために用いる手りゅう弾などで応戦した。治安部隊の車両数台に放火の被害が出たほか、当局側発表では、治安部隊員に28人(うち2人は重傷)とデモ隊側に7人(うち3人は重傷)の負傷者が出た。抗議行動の主催者側は、治安当局の行き過ぎた対応が衝突の原因になったと主張、デモ隊側の負傷者は発表よりもはるかに多く、当局が救急部隊の現場到着を意図的に妨害して被害が大きくなったなどとも主張した。当局側は、安全に救急活動が展開できるようにするため全力を尽くしたと説明してこれに反論している。