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クレティンスキー氏、フナック・ダルティの筆頭株主に

チェコの実業家ダニエル・クレティンスキー氏が仏フナック・ダルティ(家電、書籍・DVDなど販売)の筆頭株主となった。出資率が25%を超え、独同業Ceconomyを抜いて筆頭株主となった。クレティンスキー氏側では、今後もフナック・ダルティの株式を買い増しする可能性を否定していないが、6ヵ月以内に経営権を獲得する可能性は否定し、取締役を送り込むつもりもないと約束した。
クレティンスキー氏は47才。フォーブス誌によると保有資産額は92億ドルに上る。銀行家からエネルギー企業EPHのトップになり、汚染度が高い石炭発電等の資産を安値で買い集める手法で成功を収めた。フランス通として知られ、フランスは投資事業における主要な狩場となっている。同氏の投資戦略については、価値が目減りした資産を買い集めて価値創造を狙うという日和見的なもので、目的を隠して野望を準備するというタイプではないという意見もあるが、2022年5月の大統領選挙決選投票の直前に、保有する週刊誌マリアンヌの表紙タイトルを変えさせた(マクロン大統領により好意的な印象を与えるように変えさせた)という事件もあり、クレティンスキー氏の投資行動とその真意を巡る憶測は絶えない。フナック・ダルティについては、評価が下がっている時期を選んで投資するというセオリーに即した投資でもあり、折しも、やはり10%を超える出資先である食品小売大手カジノが再編計画を迎えるタイミングであることから、流通絡みで何か仕掛けてくる可能性もある。クレティンスキー氏はこれと並行して、メディア大手ビベンディの出版子会社エディティスの買収にも乗り出しており、アトス(情報処理)にも資産買収を打診している。

KSM News and Research