「自然療法」や「生食健康法」を唱道してネットで注目されていたティエリー・カザノバ氏が「違法な医療行為」などの容疑者認定を受けた。48時間の勾留を経て、10日に予審開始通告を受けた。予審は、担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き。カザノバ容疑者は保釈されたが、当局の監視下に置かれ、自然療法や健康法などの研修開催等を禁止された。
カザノバ容疑者はユーチューブのチャンネルなどを通じて、陰謀論とも連動した健康理論を展開。がんは病気ではなく、害毒に対する自然の反応であるとし、絶食や生食などの健康法を守ることによって治癒すると主張し、健康法を教授する合宿や、生食用の調理器等を高額で提供するなどして活動していた。従来の医療は患者を不当に搾取するものだとし、ワクチンも同様に批判していた。カザノバ容疑者の地元のペルピニャン地検は2020年夏に予備捜査を開始。2022年2月には容疑者の自宅の家宅捜索を行い、今回、詐欺や脱税など多数の容疑で予審の開始を決定した。報道によれば、同容疑者の脱税額は270万ユーロに上っているという。