仏送電事業者RTE(仏電力大手EDFの子会社)は2022年にフランスの総発電量が前年比15%減の445.2TWhに低下し、1992年以来の最低水準に落ち込んだと発表した。原子力発電と水力発電の低迷が原因。EDFが運転する原子力発電所で、応力腐食割れ(SCC)の問題が発生し、修理や検査のために多数の原子炉の運転を停止したために、定期保守のための停止と合わせて、一時は56基の原子炉の半数が停止するという事態が生じた。原子力発電の通年での稼働率は54%にとどまり、2015-19年の平均(73%)を大きく下回った。年間の原子力発電量は279TWhで、総発電量の63%を占めたが、これは原子力発電が通常は発電の70%以上を担ってきたフランスでは異例の状況で、2021年の69%をも下回った。また、水力発電も高気温と渇水のせいで低迷し、発電量が49.7TWhにとどまって、2014-19年の平均を20%下回った。
原子力と水力以外では、ガス火力発電が44.1TWh(前年は32.9TWh)、石炭火力発電が2.9TWh(前年比1TWh減)、風力発電が37.5TWh、太陽光発電が18.6TWhをもたらした。
なお、2022年の電力消費量は467TWhで、前年比で1.7%低下した(天候や日数の影響を調整済み)。電力貿易収支は1980年以来で初めて入超となった。