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ウクライナ大統領、ブリュッセル訪問で戦闘機供与とEU早期加盟を要請

ウクライナのゼレンスキー大統領は2月9日、ブリュッセルを訪問し、午前中に欧州議会で演説し、欧州委員会のメンバーと協議した後、午後には欧州連合(EU)の首脳会議(欧州理事会)に出席した。欧州委員会のフォンデアライエン委員長と欧州理事会のミシェル議長との共同記者会見において、ゼレンスキー大統領はとりわけ戦闘機の供与を要請し、公表はされてはいないが、一部のEU加盟国から前向きな反応を得たと述べた。大統領は「手ぶらで帰るわけにはいかない」とも述べて、EUに圧力をかけた。大統領はまた、ウクライナのEU加盟手続きについても、早期の決着を求め、2023年中に加盟する必要があると強調した。
ミシェル議長はロシア軍の攻勢に緊急に対処する必要があることを確信していると述べたが、戦闘機の供与には言及しなかった。またフォンデアライエン委員長は、戦時にもかかわらずウクライナがEU加盟に向けて改革を進めていることを評価したが、加盟は候補国のメリットに応じて承認されると指摘した。ウクライナの場合は特に汚職対策の進展が加盟交渉開始の前提条件となる。他方で、委員長は、対ロシア制裁の第10弾を近くEU加盟国に提案すると予告し、これには100億ユーロ規模の禁輸措置が含まれると説明した。新たな制裁は、ロシアのウクライナ侵攻の1周年に当たる2月24日より前に導入される見通し。委員長は、ウクライナにおける戦争犯罪を裁くための国際法廷の設立準備も進んでいると述べた。ミシェル議長は、制裁により凍結されているロシア資産をウクライナの戦後の再建に充当することが正当だとの見解を表明した。
なお、イタリアのメローニ首相は、8日にパリでマクロン仏大統領とショルツ独首相がゼレンスキー大統領と会談した際に、自らが招かれなかったことに不満を表明した。また、それとは別に、6日から7日にかけてルメール仏経済相とハーベック独経済相が一緒に訪米して、米インフレ抑制法(IRA)の欧州への影響に関する懸念を米政府に伝えたことについても、イタリアに誘いがなかったことに伊政府閣僚が遺憾の意を表明した。

KSM News and Research