英仏海峡トンネルを運営するゲットリンクはこのほど、トンネル内の電力系統の改善を目的とする投資を完了した。輸送量の増強を目指す。
ゲットリンクは、米産業大手GE製の静止型無効電力補償装置(SVC)を英国側に設置。電力供給の安定性と品質の向上を実現した。グリッドの改善のための一連の投資ともあわせて、合計で4500万ユーロをこのために投資した。英仏海峡トンネルでは現在、同時に片側で6本、両側で12本の列車が通行可能だが、今回の投資により、片側8本、両側16本の列車が通行できるようになる。ゲットリンクはまた、信号システムをERTMSの最新世代に切り替える計画で、これにより交通量を50%増やせるという。将来的には、1日300本の通過(多い時は400本)という現在の体制を、1日1000本に増やすことを目指す。
貨物・車両の輸送量の増強に加えて、高速鉄道の誘致にも取り組む。現在はユーロスター(仏国鉄SNCF子会社)が乗り入れているのみだが、スペイン国鉄RENFEや伊トレニタリアなどが、仏高速鉄道事業への参入の延長線上で英国向け路線への関心を強めているものとみられ、トンネル通過に余裕が生じれば、需要には事欠かないと期待できる。