欧州委員会は18日、仏国鉄SNCFの鉄道貨物輸送子会社フレットSNCFに対する国家補助に関する調査を開始すると発表した。2007-19年の期間を対象に、欧州連合(EU)の国家補助に関する規則への違反がなかったか調べる。
調査は、SNCFが2020年1月1日付で株式会社化されるまでの10数年に及ぶ期間を対象として実施される。この間、フレットSNCFの資金繰りを支援するため、40億-43億ユーロに上る資金が注入されたとみられており、その適法性を審査する。また、2019年に行われた53億ユーロの債務帳消しと、1億7000万ユーロの増資についても、調査の対象となる。
欧州委は、調査対象の期間を通じて、フレットSNCFの赤字が継続的にグループ間の資金融通の形で補填されてきたと指摘、SNCFが公社であったことから、これは公的資金の注入に等しいと指摘。本格調査によりその適法性を審査すると説明した。
フランス運輸省は欧州委にしかるべく回答するため全力を尽くすとコメント。鉄道貨物輸送の振興に向けた決意も同時に示した。労組CGTは欧州委の調査開始に強く反発。調査の結果によっては、将来的に鉄道貨物部門が清算に追い込まれる可能性もあると警戒している。