マクロン大統領は12月31日夜、恒例の年末のテレビ演説を放送した。大統領はこの中で、年末に可決の移民法案を含めて、2023年の政府の一連の取り組みとその成果を強調。2024年の展望については、パリ五輪の開催、ノルマンディ上陸作戦80周年記念(6月)、火災があったパリ・ノートルダム寺院の再建セレモニー(12月)など、重要なイベントがあることを挙げて、これらを国民の結集を図る機会にする意欲を示した。政策面では、学校教育改革をはじめとして、改革路線を継続する決意を再確認。また、欧州議会選挙(6月9日)について触れ、数日前に逝去した欧州委のドロール元委員長の名前を挙げつつ、民主的な欧州の推進を進めるか、それとも虚偽の情報が招くカオスに陥るか、ロシアを止めてウクライナを支援するか、それとも強権的な大国に屈するのか、いずれかを選ぶ機会になると言明。世論調査で支持を伸ばす極右RNを念頭に置いて、選挙で巻き返しを図る意欲をにじませた。
政府は1月3日に新年の初閣議を予定していたが、招集を1週間延期し、10日とすることを決めた。この決定を受けて、内閣改造の噂が浮上している。旧年中に国会で可決された移民法案を巡っては、閣内に大きな軋轢があり、法案に反対してルソー保健相が辞任、ルタイヨー高等教育相も辞表を提出したが拒否されたという経緯がある。閣内の動揺は大きく、マクロン大統領が、欧州議会選挙も控えた重要な年に、再スタートを切るため人心を一新する可能性がある。ボルヌ首相の続投の是非も焦点の一つで、マクロン大統領は、年末のテレビ演説の中で、ボルヌ首相の名前を出さずに政府の努力に感謝の念を表明していたが、これを「お別れの挨拶」と解釈する向きもある。