パリ10区で23日に3人のクルド人が銃撃により殺害される事件が発生した。犯人は逮捕された。
事件は同日の正午前に発生。ダンギアン通りにあるクルド文化センター前で銃撃があり、付近にいた3人が死亡、ほかに3人が重傷を負った。犯人は付近にいた人々により取り押さえられ、警察に引き渡された。犯人は69才の男性で、退職前には鉄道運転士を務めていた。犯行に使用された拳銃のほか、充填された弾倉数点などを所持していた。この男性は、スポーツ射撃クラブに所属し、複数の銃器を登録所持していた。その一方で、銃器を用いた暴力事件で2016年に有罪判決を受けており(上訴中)、さらに、2021年12月に発生した別の暴力事件で容疑者認定を受け、この12月12日に保釈されたばかりだった。この暴力事件は、パリ市内で、刃物により路上生活の移民2人を襲撃したというものだったという。犯人は今回の事件で、警察の取り調べに対して、人種差別的な動機で犯行に及んだと供述している。当局は25日の時点で勾留を一旦解除し、犯人の身柄を精神病棟に移した。
ダルマナン内相は24日の時点で、明らかに外国人を狙った犯行だが、特にクルド人を標的にしたのかははっきりしていないと言明。犯人は、テロ関係等の監視者リストには入っておらず、極右勢力と犯人の間につながりがあったことを示す情報は得ていないとも説明した。
クルド人らは同日午後にパリ市内に集まって抗議行動を展開。治安部隊と衝突する一幕もあった。24日にはレピュブリック広場に数千人が集まり、抗議集会が再度開かれ、この時にも破壊行為と暴力的な衝突が発生した。11人が逮捕された。パリのほか、マルセイユでも衝突があった。クルド人勢力は、今回の事件について、トルコが背後に介在している政治的なテロ事件であるとする主張を展開。当局に対して真相究明のための徹底的な捜査を行うよう要求している。犯罪歴があり、保釈されたばかりの犯人が、やすやすと拳銃を使用できたことも問題視されている。