毎年2月末〜3月にかけて、パリのポルト・ドュ・ヴェルサイユで開かれる「パリ国際農業見本市」(le Salon International de l’Agriculture)。今年行かれたという方もいらっしゃるのではないでしょうか? ここでは、パリ農業見本市の魅力についてお伝えします。
フランスで欠かすことのできない催し物と言えば、農業見本市であり、これがなければフランスはフランスではなく、まったく別のものになるでしょう。特に、パリやイル=ド=フランスの市民にとっては、農業界や田舎と再びつながる貴重な機会です。
しかし、エネルギー危機や環境に関する不安を抱えるいま、私たちはフランスのこの誇り高き大規模な見本市をどのように捉え、楽しむべきでしょうか?
人気を集める大イベント
まず最初に、この見本市がこの種のイベントのなかで最も大きなもののひとつであり、毎年およそ60万人の来訪者があるということ思い起こさなくてはなりません。1964年から開催されており、1870年以来公式に行われている畜産動物をはじめとした農産物のコンクール「Concours Général Agricole」(国際農産物品評会)の発表の場となっています。
また、この見本市は、フランスの政治家たちが多かれ少なかれ注目を集めるべく訪問する、興味深い場所でもあります。特に、今日でもフランス人の間で人気が高いジャック・シラク元大統領が訪問した際には、グルメでビールを愛する楽天的なイメージを与えました。
それぞれの地域を知る
また、この見本市は、フランスやフランス海外県の各地域が独自性を競い合うような斬新な展示会場作りとブース展開を行っており、手頃な価格で地域の特産品や名物料理を食すことができ、各地域の特色を知ることができる貴重な機会でもあります。私が訪れた際、ブルターニュ地方の区画からグラン・テスト地域圏の区画の間は、歩行するのが困難なほどの人の入り具合でした。クレープとおいしいシードルは、この見本市を訪れる人たちの最も関心のあるものだったと言えるでしょう!
私に関して言うと、アルザス地方の区画で落ち着くことができ、小さな白ビールとともにチーズ入りのおいしいプレッツェルを味わうことができました。
子供たちにとって見逃せないイベント
ほとんどの来訪者は家族連れです。それは率直に言って、子供にとって信じられないような経験ができる場であるからです。そこでは農場からやってきた動物たちが一挙に集まり、触れることは禁止されていながらも、どんな動物園よりもより生き生きとして、より自然な空間を子供たちに提供してくれるのです。牛、豚、山羊、そしてとりわけ見逃せない馬といったすべての農場の動物たちが、子供たちの幸せのために最高の状態で待っているのです。
また、犬や猫、そしてウサギたちも、年に一度のコンテストの一環として一般公開され、最も美しい動物たちが表彰されます。
未来への課題
やや時代遅れ感があるとは言わないまでも、牧歌的であるという側面を除けば、多くの展示ホールが未来の農業に向けられたものであることに注目すべきでしょう。例えば、ある展示ホールは明日の環境問題に対応することを目的とした、商業的で未来志向的なブースが設置されています。とりわけ私が訪れた際は、ちょうどフランスは100日もの間雨が降っておらず、前代未聞の状態に陥っていました。これに関しては、エマニュエル・マクロン大統領も訪問時に言及しています。
最後に
このように長い歴史を持ち、多くの来場者、とりわけ子供たちに喜びと感動を与えるパリ国際農業見本市は、毎年さまざまな工夫を凝らしながら活況を呈しています。
生の動物たちを見たいという方、フランスやフランス海外県、さらには世界各国の特産品に興味があるという方、植物や庭に関する展示を楽しみたい方、フランスの農業に関するブースを巡りたい方など、フランスが誇る幅広い目的に適った大規模な見本市です。ぜひ注目してみてください!