アルザス地方在住でフランス政府公認ガイドの資格を持つ加藤淳子さんが、季節ごとのアルザスの楽しみ方を綴る本連載。今回は冬のアルザス! ストラスブールのお勧めクリスマスマーケットをご紹介します。
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季節とともに楽しむ、アルザスの魅力 ストラスブールのクリスマスマーケット 前編
② 共有の村:人道支援のアソシエーションが開くクリスマスマーケット
欧州トップクラスの大きさを誇るクリスマスツリーが飾られる旧市街で一番大きな広場、クレベール広場には、ヴィラージュ・デュ・バルタージュ(Village du Partage)と名のついたマーケットが立ちます。「共有の村」という意味で、さまざまな人道支援の活動をするアソシエーションが展開するちょっと特別なマーケットになっています。
マーケットには手づくり感いっぱいのクリスマスクッキー(ブルドウルもしくはブルドゥラと言います。)や、ヴァンショー、バザーの品など、プロのシャレとは一味違ったものが多く並びます。また、星付きシェフがボランティアでスープの提供をしていて、一杯数ユーロで楽しめます。
クリスマスに少しでも辛い思いをしている人に手を差し伸べられるなら、困難な状況にある人を思いやれたら、こんなにすてきなことはないのではないでしょうか。ユニセフや病気の子供を支援する団体から、貧困に陥った人や避難民を支援する団体など、どんな団体がでているのかを少し注意深く見てみると、今まであまり思いの及ばなかった、けれど大事な何かがあることに気づかされます。共有の村は、クリスマスツリーの足元にあるマーケットです。 コロナ禍以降、密集したマーケットに間隔をあけるようにしたため、以前はブログリ広場のクリシュキンデルスメリクにあったシャレの一部がクレベール広場にお引越しをしました。クリスマスツリーの足元にある共有の村とは少しスペースをとって設置されています。
③ マルシェ・オフ:新しい形のクリスマスマーケット
クリスマスはプレゼントに飾りつけにパーティーにと、出費のかさむ時期です。消費社会の権化とも言えるこの現代のクリスマスを「ON」とするなら、マルシェ・オフ(Marché OFF)は、クリスマスに責任を持った消費を促す新しいコンセプトのマーケットです。
プチットフランス地区のはずれの駐車場、グリマイセン広場(Place Grimmeissen)にこのマーケットが登場したのが2016年です。ワインや地ビール、ジャムをはじめ、ローカルにこだわった地元の生産者さんの商品から、アーティストの工芸品、環境に配慮した商品やリサイクル品までが並ぶこだわりのマーケットで、約30の生産者・アーティスト・職人さんが参加しています。シャレも一風変わっていて、コンテナーが使われていて伝統的な山小屋が並ぶマーケットとは趣きが全く異なります。消費社会をポジティブに捉えつつ、自分の消費活動の見直しを提案する面白いマーケットで、地元の人にも人気です。また、ライブで情報発信したりさまざまなアトリエも開催していて、多角的なアプローチでクリスマスマーケットに新しい風を吹き込んでいます。
コンセプトを知って、もっとクリスマスマーケットを深く楽しむ
もともとは子供の守護聖人、聖ニコラオスの名を冠した定期市でしたし、子供のためのクリスマスプレゼントは昔から売っていましたが、現在では世界中の子供から大人まで楽しめるように発展を遂げた、ストラスブールのクリスマスマーケット。広場ごとに少し立ち止まって、その特徴を観察すればそれぞれに違った魅力が見えてきます。
今回ご紹介したマーケット以外にも、おいしいものを集めたマーケットや、毎年長蛇の列が出来る、マイゼンタール(Meisenthal)のガラス工房のクリスマスオーナメントのシャレなど、バラエティに富んださまざまなアイテムが見つかります。その様子はまるでおもちゃ箱をひっくり返した、というより、子供の頃にクリスマスプレゼントをあれこれ頭の中で思い描いていた記憶そのものが目の前に広がっているようです。
暖かい恰好でゆっくり練り歩いてみてください。毛糸の帽子と手袋にマフラーは必須です。時々ヴァンショーで手を温めながら歩くストラスブールのクリスマスマーケットは、じっくり観察してみる価値ありです。ぜひ、すべての広場を巡ってみてください。
参考サイト:
ストラスブールのクリスマスマーケット公式ホームページ
Marché de Noël à Strasbourg – Noël à Strasbourg
マルシェ・オフの公式ホームページ
Accueil – Marche OFF de Noël Strasbourg (marcheoffstrasbourg.fr)