フランスで交通事故に遭ったらどうしたらよいでしょうか。どれだけ注意して運転したり、通行したりしていても事故に遭う可能性はあります。そして事故に遭った場合や、事故を起こしてしまった場合、そのことだけで気が動転してしまい、どう処理したらよいかわからなくなってしまうかもしれません。ましてや言語も社会も日本とは異なるフランスで、その場での事故処理、そして書類を作らなければならないのではなおさらです。
そこで今回は、不幸にして交通事故に遭ってしまったときに行わなければならない基本事項を紹介します。
1. 事故発生直後の基本事項
・落ち着く。車から出て深呼吸を10回。
・人身事故の場合、警察に連絡(番号:17)し、必要ならば救急車(番号:18)を手配する。
・けが人は救急車が到着するまで動かさない。車内のけが人も自動車火災発生の危険性がない場合は動かさない。
・事故現場の保存。警察を呼んだ場合は警察の指示があるまで動かさない。警察を呼んでいない場合は、両者が合意の上で事故車両を交通の妨げにならない所に移動させる。
・相手の免許証(Permis de Conduire)、車両登録証(Carte Grise)、保険証書(Carte Verte)、身分証明書を見せてもらい、ノートなどに書き写す。
・合意調書(Constat amiable)の記入にはボールペンを使用し、カーボン紙が入っているので2枚目も記されるよう十分な筆圧で記入する。
・保険会社または保険代理店には、すぐ電話で事故報告をする。
2. 人身事故の場合
・警察を呼ぶ。必要ならば救急車を手配する。
・軽症と思われても後日どんな不具合が発生するかわからないので、少しでも痛いところがあったり出血があったりする場合は、人身事故扱いにする(事故を起こし極度に緊張しているので、多少の痛みは感じていない可能性がある)。
・警察、救急車が到着したらその指示に従う。
・両者で合意調書の表側の記入を行いサインの上、各自が1枚ずつ保管し、その後合意調書の裏側を記入し、保険会社、または代理店に5日以内に送付する。
・保険会社または保険代理店には、すぐ電話で事故報告をする。
3. 物損事故の場合
・基本的には警察を呼ぶ必要はなし。
・両者で合意調書の表側の記入を行いサインの上、各自が1枚ずつ保管し、その後合意調書の裏側を記入し、保険会社、または代理店に5日以内に送付する。
・保険会社または保険代理店には、すぐ電話で事故報告をする。
4. 合意調書の記入時の注意点
・合意調書はお互いがそれぞれに記入するものなので、相手がどのようなことを記入しても干渉してはいけない。また、こちら側が何を記入するか相手に干渉させてはいけない。
・合意調書の記入は必ず本人が行う。
・合意調書の表側の記入は納得するまで時間をかけて行う。
・合意調書の表側の記入が終了し、両者がサインのしたあとに1枚ずつ保管するが、その後は表側への新たな記入、訂正は絶対に行ってはいけない。
・合意調書の表側のA、Bにそれぞれ各人が必要事項を記入する(例:本人がA側を記入し、相手がB側に記入)。記入内容に漏れがないように注意する。
・合意調書の表側のAの部分にあらかじめ自分の情報で記入できることを書き込んでおくと、あわてている事故発生時に役立つ。
・スマートフォンのカメラなどで事故現場、ぶつかった箇所などの写真を撮り、保険会社、保険代理店に渡す。写真があると、保険会社、保険代理店が相手方との事故責任割合決定の交渉のときに話が有利に進むことがある。
5. 相手がいないときの合意調書の作成方法
自損事故、駐車場での当て逃げ事故、盗難など、相手がいない、または特定できないときは合意調書の表側はAの欄のみ記入し、それを保険会社または保険代理店に送付することになります。このときも事故発生時にすぐに電話にて事故発生の報告をして、期日以内に合意調書を送付しなければなりません。盗難の場合は警察の盗難証明も必要になります。また、盗難の場合は、合意調書の保険会社または保険代理店への送付が24時間以内になりますので注意が必要です。
出典:在仏日本人会 加筆:エトワ