フランスの統計によると、近年の自動車事故に起因する死亡者数は、年間4000人と報告されています。これは、人口、および車両の数から比較すると、日本の倍近い死亡者数となります。日本から来られた方々にとって慣れない左ハンドルの運転やフランスならではの交通規則、悪名高いパリジャン・パリジェンヌの運転など、交通事故に結びつく要因はたくさんあります。そのため、細心の注意を払って運転する必要があります。
フランスの自動車保険は、強制賠償責任保険を軸に任意総合保険を組み合わせて、あらゆる補償をカバーする仕組みになっています。日本の自動車賠償責任保険・任意保険とは異なります。ここでは、フランスで運転するにあたり知っておきたい、自動車保険の概要について紹介します。
強制賠償責任保険
フランスで車を購入し運転するためには、強制賠償責任保険の加入が義務付けられています。
補償内容は下記の通りです。
・対人(対象者:同乗者、歩行者、相手方の車の運転者など保険金支払い限度額:無制限)
・対物(対象物:自分の車で損害を与えたすべての物 保険金支払い限度額:1億ユーロ)
・事故発生時の⺠事、刑事訴訟のための弁護士費用
任意総合保険
各保険会社は、強制賠償責任保険を軸にして、いろいろなオプション付きの保険をパッケージとして販売しています。
一例として、Allianz社の任意総合保険を一部紹介します。
(Formule C1, C2, C3 はAllianz社の商品名)
・【Formule C1】 傷害死亡・後遺障害等、自身の補償とアシスタンスサービスのみの付保
・【Formule C2】 Formule C1に、一部の車両保険を付保
・盗難、窓ガラス破損、自然災害、テロ行為などに対する補償
・【Formule C3】 Formule C2に、すべての車両保険を付保
契約方法
必要書類(1.2.をご参照ください)のコピーを用意の上、希望の補償内容を提示し、見積もりをとります。補償内容に納得し、契約書に署名することによって契約が成立します。
1. すでにフランスで自動車保険契約に加入し、契約内容を見直したい場合
・車両登録証carte grise
・運転免許証(フランスの免許証、もしくは日本の国際免許証)
・運転履歴書relevé d’information(現在契約されている保険の保険代理店に依頼します)
2. フランスで初めて自動車保険に加入する場合
・車両登録証carte grise
・運転免許証(日本の国際免許証で可)
・英文無事故証明書(日本で自動車保険に加入していた場合は、その保険会社に依頼します)
保険料について
以下の事項により、保険料が異なります。
・保険会社、保険代理店
・主運転者の性別、年齢、運転経験歴、職業、住所
・主な車の用途(通勤、業務など)
・無事故ボーナス(日本の保険料割増・割引に関わる等級別料率とはシステムが異なるが類似)
・車の種類、ガレージの有無
・年間の走行距離
・限定の有無(運転者、年齢、免責など)
条件により保険料が異なるため、保険代理店にいろいろな保険会社の見積もり依頼をする価値は大いにあると思いますが、多少の保険料の差なら、事故などが発生した場合に迅速かつ責任を持って対応してくれる保険会社、保険代理店を選ぶことが賢明だと思われます。
寄稿:ASSETS 総合保険代理店 日系顧客担当 石井宏 氏 出典:在仏日本人会 加筆:エトワ編集部