フランスのクレープの日とは
フランスでは、毎年2月2日が「クレープの日」と呼ばれています。フランス語でChandeleur(シャンドルール)と呼ばれ(以前は「シャンドリューズ」と呼ばれていました)、その名前は「ろうそく」に由来しています。クレープの日は自宅やカフェでクレープを焼いたり、フェスティバルやクレープセールなどが開催されたりすることもあり、普段クレープを置いていないパン屋さんでも、「クレープの日」には店頭にクレープが並ぶこともあります。
クレープを食べるときにはシードルも一緒に
シードルは、フランスをはじめとするヨーロッパ北西部で好まれている醸造酒で、りんごの果汁をアルコール発酵させて作る果実酒の一種です。ブルターニュ地方はフランスで最も有名なシードルの産地であり、地元の人々から愛されています。通常冷たい状態で飲まれるシードルですが、温かい状態で飲まれることもあります。
フランスでは、クレープを食べるときにシードルを飲む文化が根付いており、クレープを提供しているお店などではクレープとシードルがセットになっていることがあります。またシードルを飲むときに、特にブルターニュ地方ではグラスではなく専用のボウルで飲むことから、お店でクレープとシードルを注文した際にボウルにシードルを入れて提供されることもあります。
クレープの日、シャンドルールの歴史
シャンドルールは、ローマ時代には「牧神パンを祝う祭り」でした。最初は信者たちが松明(たいまつ)を持ち、ローマの街を歩き回るだけでしたが、472年にローマ教皇がこの祭りを宗教的な祭りとしたことで、シャンドルールの日には賛美歌を歌い、教会から火のついたろうそくを持ち帰るようになりました。フランスのフランシュ・コンテ地方では、このようなことわざがあるようです。
”自分の家に火を持ち帰った人は
年内には死なない”
この儀式で持ち帰ったろうそくには他にもさまざまな謂れがあり、「蝋(ろう)を卵に滴下することで、卵がよく孵化(ふか)する」、「嵐が来るときにこのろうそくに火をつけると、雷を防ぐ効果がある」などとも言われていたようです。
いつしかクレープを作る人々が増えていきました。いつからはじまったかは不明ですが、「シャンドルールの日にクレープを作らないと、小麦が病気になる」という古い神話が関係していると言われています。
また、クレープを作る際には金貨を使った儀式もあるようです。
その儀式とはクレープを作るときに左手に金貨を持ちながら、右手でクレープをひっくり返して作るというものです。そして、金貨をクレープで巻いて寝室の棚の上に置き、翌年のシャンドルールでそれまで寝かしておいたクレープの中から金貨を出し、一番最初に訪ねてきた貧しい人に金貨を渡すというものでした。
この儀式を全うすることで、家族は一年中お金を持っていることが保証されると言われています。
クレープとガレットは違う?
フランスで「クレープ」といえば、細かな違いはあれど、大きく分けて小麦粉を使い作った薄いパンケーキ状のものと、ソバ粉を使って作ったガレット(ガレットとは元々「丸くて平たいパイ菓子」を指します)と呼ばれるものの2種類があります。
クレープは主にヌッテラなどの甘いものと合わせることが多く、ガレットは卵やチーズ、ハムなどのおかず系のものと合わせることが多いです。
また、ガレットはソバ粉を使用しているので、グルテンフリーの食事としても認知されているようです。
フランスのクレープ店
フランスには数多くのクレープ店があります。パリにあるお店をいくつかこちらで紹介します。
Breizh Café: パリの中心部にあるクレープ店で、ブルトンのクレープやガレットを提供するカフェです。フレンチスタイルのクレープやフレンドリーなサービスで知られています。カフェはパリだけでなく、東京や大阪を含む日本の複数の場所にあります。
https://www.breizhcafe.com/
La Crêperie de Josselin:フランスのブルターニュ州モルビアン県のジョセラン発祥のクレープ屋です。地元から調達した材料を使って作られる、伝統的なブルトンのクレープやガレットで知られています。
https://www.creperielepetitjosselin.fr/
Crêperie – Le Comptoir du Commerce:100%オーガニックのソバ粉や、新鮮な食材を使ったクレープ屋です。季節の食材を使用しており、立地も中心地のモントルグイユにありアクセスがいいです。
https://www.comptoirducommerce.com/
あなたのお気に入りのクレープ屋はありますか? ありましたらぜひエトワ編集部までお知らせください。
参考サイト
https://momes.parents.fr/calendrier-fetes/evenements/chandeleur/origine-de-la-chandeleur-848136