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フランス留学についてインタビュー~初めての留学生活、フランスでの体験【後編】


無数にある“フランスとの出会い”のひとつを少しのぞいてみませんか? 現在、フランス・トゥールーズに留学中で、エトワで地方特派員を務める森榮爽(もりえ・さやか)さんにインタビューを行いました。後編では、トゥールーズの魅力やフランス生活、そして留学後の目標について伺いました。


1. フランス生活とトゥールーズ


──トゥールーズは観光業が盛んで学生も多く、とても生き生きした街だと聞きますが、実際に暮らしてみていかがですか?


 どこを歩いても赤レンガの美しい街並みを堪能することができるところがトゥールーズの魅力だと感じます。美術館や教会も数多くあるけれど、そのすぐ近くには、ガロンヌ川やミディ運河など、自然豊かな景観も味わうことができ、賑やかすぎず、静かすぎないトゥールーズは、初めての海外生活にはうってつけの街だと思います。
 また、トゥールーズは治安がよくて住みやすい! 初めての海外生活ということもあり、最初の頃はメトロやお店の中で、常にスリを警戒していました(笑)しかし、実際には温かな人が多い印象で、生活してからは未だに、スリやぼったくりの被害に遭ったことがありません。観光客がそこまで多くないからか、気を張りすぎる必要はないように感じます。

ガロンヌ川と川沿いの紅葉。自然が街と融合しており季節を感じさせる。

──トゥールーズは大都市ながらのんびりした一面もあるのですね! トゥールーズで最もお気に入りの場所はありますか?

 夜のガロンヌ川沿いです! お昼とは一変、夜になると、ライトアップされた街や川が、水面に美しく映り、幻想的な光景が広がります。周辺には飲食店も多く、テイクアウトをしてピクニックを楽しんだり、遊歩道で散歩をしたりと、ロマンチックな景色を前に、それぞれが思い思いの時間を過ごしている様子はフランスらしくてとてもすてき。
 豪華絢爛な日本の夜景も好きですが、このような自然と融合した穏やかな夜景にもまた違った魅力があり、一日の疲れを癒しに、頻繁に足を運んでいます。

──初めてのフランス生活はいかがですか? 印象的な出来事などがございましたら教えてください。


 言語の壁は今でも感じます。日本で勉強していると、自分や教室の中では話せているつもりでも、現地の人に伝わらないことが多く、最初は非常に苦戦しました。印象的だった出来事は、以前美術館に行った際のこと。係の方に予約の要否を尋ねようとしたのですが、私の“réservation”(予約)の発音が悪く、どうしても聞き取ってもらえなかったときは、非常に落ち込みました(笑) これをきっかけに発音に注意深くなり、普段からフランス人の友人に直してもらったり、苦手な単語は自宅で繰り返したりし、克服に努めています。
 また生活面では、物価の高さに驚きました。トイレットペーパーやティッシュは日本よりもはるかに高く、ティッシュに至っては、ボックスティッシュ一箱2.95ユーロと、日本円でおよそ470円。日本の5個入りのティッシュを一パック買えてしまう値段の高さ。
 日々、倹約に努めていますが、見たことのない物珍しい商品を発見すると、つい手に取ってしまっています(笑)
 ただ、ヨーグルトなどの乳製品やバゲットは、日本よりも少し安く買うことができます。いかに安いもので自炊をするか、模索しています。

バラ色の街トゥールーズ。太陽に当たり赤煉瓦がピンク色に照る様子が美しい。

──ずばりフランスのいいところや好きなところは何でしょうか?


 「学生に優しい」ところだと感じます。美術館や博物館、映画館などの多くの文化施設では、学生割引が適用されるため、気軽に足を運び、フランス文化に触れることができます。また、以前は学生だけに向けたオーケストラ講演もありました。
 交通費も日本と比較すると非常に安く感じます。定期券にも学割があり、定期券ひとつで、市内のメトロ・トラム・バスすべての駅で降りることができるため、とても便利です。
 また、フランス人は、優雅に一日を過ごしている人が多いように見え、その点もフランスのすてきなところだと思います。日本の駅や道では急いでいる人をたくさん見かけますが、フランスではみんなどこか落ち着いていて、自分の時間を自分のペースで過ごしている印象。お昼からテラスでワインを飲んでいたり、夜も街を散歩している人が多くいたり、時間の流れがとてもゆったりしているように感じます。この優雅さに影響され、私も、自分の時間を大切にして穏やかに過ごそうと意識しています。
 また、一人でいる人が少なく、多くの人が、友人や恋人・家族と、会話を楽しみながら食事やショッピングをしています。日本では学食にも一人用スペースが設置されていますが、フランスではほとんどの学生が、友人同士でテーブルを囲み、みんなでわいわい賑やかに食事を楽しんでいます。人とのつながりが強く、どんなときも会話や話し合いを大切にするところが私は好きです。

トゥールーズ市内に数多くある噴水の一つ。夜はライトアップされ一層美しくなる。

2. 新たな挑戦、そして今後


──残りの留学生活で挑戦してみたいことはありますか?


 留学生活の前半は、フランスの文化を受容していた側でした。街並みや公共施設、食事、授業の雰囲気など、自分自身で体感する異文化はもちろん、友人からはフランス人の考え方や恋愛の価値観の違いまで、生活しただけではわからない多くのことを教えてもらいました
 留学後半、次は私から積極的に日本の文化や魅力を発信してみたいと思っています。留学初期よりは、少しずつですが、話せるようになってきたので、これからは今までの知識をアウトプットしていけるよう、今後も躊躇うことなく積極的にたくさんの人と会話していきたいです。前回の「お寿司パーティー」に引き続き、第二弾は「ラーメンパーティー」の案が出ているため、日本の食文化を始め、自分の感じたフランスと日本の違いをたくさん伝えようと思います。

 また、帰国までに、市内を走るメトロの各駅を全制覇したい!(笑) これは以前から友人と計画している挑戦で、37個の全ての駅で降り、各駅でのすてきな場所を見つけることが目的です。便利な定期券があるからこそできる挑戦。市内を余すことなく堪能し、トゥールーズの魅力を語ることができるくらい詳しくなれるよう、帰国までに達成させたいです。


──それはおもしろいですね! ぜひトゥールーズのメトロについても、エトワで記事にしてほしいです(笑) さて、最後に留学後の抱負について教えてください。


 将来は、記者になりたいと考えています。夢は、フランス特派員になってフランスで起きた出来事や、あまり知られていないフランスの文化や魅力を日本に届けること。
 フランスでの数えきれほどの新たな出会いとすてきな経験は、私の人生に大きな影響を与えてくれました。記者になり、もう一度このフランスに戻ってこられるよう、夢に向かって今後より一層勉強に励み、残りの留学生活を悔いのない有意義なものにしていきたいです。

この記事の執筆者

森榮爽(もりえ さやか)

昨年までトゥールーズで留学をしていた大学4年生。パリ旅行をきっかけにフランスに興味を持つようになり、大学からフランス語学習を開始。昨年9月から大学の交換留学制度を利用して渡仏。趣味はフルートで、留学先の大学ではオーケストラサークルに所属していた。

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