政府は2026年に400億ユーロの追加節減を予告した。規模が大きいだけにその実現可能性が危ぶまれている。ドモンシャラン予算相は16日の国会答弁の際に、各種税制優遇措置の整理・廃止に向けた意欲を確認。各種税制優遇措置は457種と数が多く、その規模は合計で850億ユーロに上る。予算相は、10%を廃止すれば80億ユーロ、5%を廃止すれば40億ユーロ、などとその効果を強調したが、経済紙レゼコーは、言うは易く行うは難し、の好例だと報じている。
同紙によれば、年間50万ユーロに満たない措置、受益者が100人に満たない措置、1人当たりの額が100ユーロに満たない措置、の3種が手始めに整理の検討対象になるというが、このうち前2種の措置については、定義上、規模がごく小さいことから、廃止したところで大したゲインは得られない。廃止する甲斐があるのは1人当たり100ユーロ未満の措置で、こちらは全部で17種と数は少ないが、平均受益者数は280万人と多い。そのため、全廃すれば国は23億ユーロ程度の節減を達成できるという。この種の措置の例としては、ティットル・レストラン(企業が従業員に昼食代の代わりに支給するバウチャー)対象の優遇措置(5億ユーロ)、低所得の高齢者・障がい者の所得控除制度(4億ユーロ)、高等教育を受ける扶養家族の税額控除(2億ユーロ)などがある。ただ、1人当たり100ユーロ未満とはいえ、これら措置にはそれぞれ熱心な「番犬」がいて、廃止するとなれば大騒ぎになる。これまで措置が残ってきたのにはそれなりの理由があるので、廃止するのだとしたら、やはりそれなりの覚悟が必要になるという。