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フランスとアルジェリアの関係が再び緊張化、領事館職員の逮捕がきっかけに

改善に向かっていたフランスとアルジェリアの関係が再び悪化した。仏捜査当局が、誘拐・監禁事件の捜査の一環で、仏クレテイユのアルジェリア領事館の職員を含む3人を12日に逮捕したのを受けて、アルジェリア当局は14日未明に、在アルジェリアのフランス大使館の館員12人に国外退去処分を通知した。仏外務省はこれを不当な処分と抗議し、撤回されないなら相応の対抗措置を講じると予告した。

逮捕は、アルジェリア人の反政府インフルエンサーであるアミル・ブホル氏(通称「Amir DZ」)が1年前の4月29日に拉致された事件の捜査において行われた。ブホル氏によると、同氏は4人組の私服警察官を名乗る人物により、パリ首都圏バルドマルヌ県内の自宅から拉致された。同氏は倉庫のような場所で監禁され、27時間後に解放された。ブホル氏は、アルジェリア当局による脅しを目的とした犯行だとして提訴し、テロを担当する全国管区検事局が去る2月に捜査開始を決めていた。

アミル・ブホル氏は、アルジェリア政府による逮捕状発行と身柄引き渡しの請求の対象になっているが、フランス政府はこれを拒否し、2023年に難民認定に応じたという経緯がある。アルジェリア政府は、政治的な意図が込められた逮捕だと主張し、在外公館の職員を事前通知なしに逮捕するのは国際法違反だとも主張している。フランス政府の側では、司法は政府から独立しているとし、領事館職員について不逮捕特権が適用されるのは、公務に関係した犯罪容疑に限られるとも反論している。

アルジェリアとフランスの関係は、マクロン仏大統領が昨年夏に、西サハラ問題で、西サハラにおけるモロッコの主権を認める発言をしたことをきっかけに悪化。1週間前には仏外相のアルジェリア訪問が実現し、回復に向かっていたが、その矢先の事件で再び関係が緊張化した。

KSM News and Research