UNEDIC(失業保険管理機関)は10日、短期雇用契約等の乱用を抑止する目的で導入された社会保険料の加減制度(通称Bonus-Malus)について、その成果に関する評価結果を公表した。短期雇用契約の利用が減りはしたが、この制度の影響によるものかどうかは即断できないとする慎重な結論を示した。
同制度は2019年に導入が決まり、2021年に施行された。短期契約や派遣雇用の利用が多い7部門(食品加工、水処理・廃棄物処理、宿泊・飲食、輸送・倉庫など)を対象に適用されており(従業員数10人以下の企業は免除)、使用者負担の社会保険料(料率4.05%)が、当該企業の実績に応じて加減される。当該部門の「離職率」(辞任と特殊契約を除いて契約終了に伴い失業登録をした人の数を、年間の雇用数により除した数字)の中央値と、当該企業の離職率を比較して、差が大きいほど、増額・減額の幅を大きくする。企業により料率は3-5.05%の範囲で変動することになる。
UNEDICの集計によると、対象企業における雇用契約の終了件数は、2024年に前年比で8%の減少を記録した。それがすべて、この制度の効果であるとは限らない。雇用情勢の全般的な後退により、採用数そのものが減ったため、契約終了の件数も減少したなど、その他の理由が考えられる。UNEDICはそのため、制度の対象外の別の部門の状況との比較により、制度の効果をより明確に把握することを試みた。離職率(2019年を100とした指数により示す)の推移をみると、2023年に同制度の対象企業では85、対象外の企業では89となり、いずれも2022年(対象企業で95、対象外企業で97)から低下した。この差は一部、制度の存在に由来すると考えられるが、UNEDICでは、差はさほど大きくなく、効果は限定的とみなされるとの判断を示している。