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パリ副都心ラ・デファンス地区、大手5社が「再生ビジョン」を公表

パリ副都心ラ・デファンス地区の再生ビジョンが3月5日に公表された。同地区で不動産開発を行っている大手5社(アリアンツ、アクサIM、グルパマ・イモビリエ、ソシエテジェネラル、ユニバイユ・ロダムコ・ウェストフィールド)が共同で、2050年までの期間を見据えたビジョンをまとめた。

大手5社は合計でデファンス地区の資産の25%程度を保有。過去10年間では50億ユーロを投資してきた。同地区は、高層ビルが立ち並ぶフランスきってのビジネス街だが、コンセプトが古くなり、リモート就労の増大によるオフィス需要の低下も手伝って、将来性が危ぶまれている。大手5社は、新たな時代にあわせて、生活と仕事が接近した街づくりを進める必要があるとし、イノベーションに軸足を置いた施設の整備も課題だとして、新たなビジョンを提示した。具体的には、イノベーションにおける欧州のハブとなることを目指し、人工知能(AI)の研究開発センターや、気候変動・脱炭素エネルギーのキャンパスを整備し、世界の大学の支部を誘致したり、インキュベーターを設置することを提案した。高層ビルの小島のようになっている現在の設計思想も改めて、周辺地区との往来をしやすくして、中心の広場も、芝生などを配した人間的な街づくりを進める。向こう10年間で規格外となるオフィスを住宅やホテル、商店などに転用する取り組みも必要となる。

大手5社は、向こう10年間で毎年5000万ユーロの投資が必要になると試算している。財源は明示されていないが、官民協力の推進が必要と指摘。地元自治体に落ちている税収の一部を開発公社の収入にするなどの見直しも有益だと指摘している。

KSM News and Research