大手格付け会社のS&Pは2月28日、フランスの長期債務の格付けを「AAマイナス」のまま維持したが、格付け見通しを「安定」から「ネガティブ」に引き下げた。フランスの公共財政が圧力下にあるとし、改革に向けた政治的支持も限定的であるとして、見通しを下方修正した。
バイルー内閣は2025年予算諸法案の最終的な可決を得たばかりだが、S&Pはそれでも、見通しを「ネガティブ」とした。仏経済省はこの決定について、公共財政の立て直しが大きな挑戦であることを思い起こさせるものであり、政府はこの挑戦に不退転の決意で取り組むとのコメントを発表した。
大手格付け会社のうち、フィッチも、2024年10月の時点で、格付けを「AAプラス」に据え置いた上で、見通しを「ネガティブ」に引き下げていた。そのフィッチは3月14日に格付け見直しの結果を発表する予定で、この時に、「Aプラス」への1段階格下げが決まる可能性がある。バイルー内閣は、2025年の財政赤字の対GDP比を5.4%に設定。従来の目標だった5.1%からかさ上げしており、2025年の経済成長率目標である0.9%の達成も危ぶまれている。