トゥールーズ行政裁判所は26日、高速道路A69の建設許可を取り消す判決を下した。建設に反対する環境派の主張を認める形で、生物多様性を破壊することを正当化するに足る必要性が建設計画には認められないと認定した。運輸省はこの判決を不服として、控訴すると予告した。
トゥールーズとカストル市を結ぶ53kmの区間を整備し、高速道路A69とする計画だった。予算は4億5000万ユーロに上り、建設工事は既に始まっている。環境派は数度にわたり現地で大規模な抗議行動を行い、その一方で、2023年に地元のタルヌ県県庁が下した建設許可に対する異議申し立ての行政訴訟が提起されていた。裁判所は、高速道路を建設しないと、カストル市とその周辺地方の経済や雇用に重大な悪影響が生じるとは考えられず、生物多様性を破壊してまで建設することは正当化されえないとの判断を下し、許可を無効と認定した。
これだけの規模の建設計画を、裁判所が環境規制に依拠して事後的に差し止めたケースは前例がない。建設主体のコンソーシアムATOSCAは、3億ユーロ強に相当する工事が既に終了しているとし、建設中止の場合には数億ユーロの諸経費が新たに発生すると主張。地元タルヌ県選出のテルリエ下院議員(マクロン大統領派のEPR所属)は、1000人を超える従業員が失職すると指摘し、影響の大きさを問題視した。建設に反対していた環境政党EELVと左翼政党「不服従のフランス(LFI)」は判決を歓迎している。