バイユー前代表の問題がきっかけとなり、環境政党EELVが揺れている。この問題を含めて、トンドリエ現代表に対する批判の声が党内で高まっているという。
バイユー前代表は、元内縁の妻が2024年3月にモラルハラスメントなどで告訴したのをきっかけとして、党代表職や下院議員職などから辞任した。EELV所属のルソー下院議員が熱心にマスコミを通じてバイユー前代表を糾弾したこともあり、同年秋に辞任に追い込まれた。元内縁の妻は、精神を病んで党にも訴え出たが取り合ってもらえなかったと主張し、前代表と党を念頭に置いて2件の提訴を行っていた。この提訴を吟味した検察当局は2月中旬までに、事案は犯罪に相当しないとの判断を示し、不起訴とすることを決定。前代表はこれを受けて、司法当局から無実を認められたが、いかなる補償もなされえない被害を受けたとして、党の対応などを批判した。
これについて、ルソー下院議員は、バイユー前代表の男性至上主義的な人となりがフェミニズムの理念にそぐわないので、何はともあれ前代表が糾弾されたのは当然だとして、自らの言動を改めて正当化した。トンドリエ現代表(女性)は、前代表の辞任に伴いポジションが上がる利益を得た格好だが、一件について22日に発表した党のコメントは、バイユー氏の復権や、氏への謝罪などは盛り込まず、「関係者すべての苦痛」と「バイユー氏の人生に否定的な影響が及んだ」ことを遺憾と思う、とのみ表明する内容だった。党内には、行き過ぎたフェミニズムの動きを非難する機運があり、トンドリエ代表にもその矛先が向けられている。
また、別件として、党報道官の人選を巡る対立も生じており、トンドリエ代表を支持してきたピオル・グルノーブル市市長が、報道官への就任を改めて望む意志を表明。人事を含めて権限の一局集中を狙うともみえるトンドリエ代表の動きには、今度はルソー下院議員も含む党内の有力者の多くが反発を強めているといい、代表が計画する党大会の招集のあり方が当面の争いの火種となっている。