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ユーロ圏消費者の決済手段選択、店頭では現金支払いがまだ5割超

欧州中銀(ECB)は、ユーロ圏における消費者の支払い習慣(支払い手段の選択傾向など)に関する新たな調査結果を発表した。この調査「SPACE(study on the payment attitudes of consumers in the euro area)」は2019年から定期的に実施されている。また、それ以前にも欧州中銀はユーロ圏における世帯の現金使用に関する調査「SUCH(study on the use of cash by households in the euro area)」を行っていた。

2024年の調査によると、日常的な支払いに店頭での支払いが占める割合は(回数ベースで)75%となり、2022年の前回調査における80%から後退した。個人対個人の支払いは4%(2022年も4%)、オンライン支払いの割合は2022年の17%が21%に拡大した。支払い金額で見た場合の割合は、店頭支払いが58%(2022年は68%)、個人対個人が6%(同5%)、オンラインが36%(同28%)。

店頭での支払いに現金支払いが占める割合は52%で、過半数を維持。2022年の59%から7ポイント後退したものの、後退のペースは鈍化した。2019年から2022年にかけては72%から59%へと大きく後退していた。カードによる支払いは39%(2022年は34%)に拡大し、モバイル機器による支払いは6%と割合は小さいものの、2022年の3%から倍増した。現金は50ユーロ未満の少額の支払いで用いられることが多く、50ユーロ以上の支払いではカードの使用頻度が高い。

現金使用の割合は国により違いがあり、店頭での支払いに占める現金支払いの割合が大きい国はマルタ(67%)、スロベニア(64%)、イタリア(61%)など。逆に小さい国はオランダ(22%)やフィンランド(27%)などだが、おもしろいことに、両国では2022年と比べて現金支払いの割合が拡大に転じた(オランダで1ポイント増、フィンランドでは8ポイント増)。フィンランドの場合は、隣接するロシアによるサイバー攻撃の脅威がキャッシュレス決済の後退の一因とみられ、こうした現象は、やはりロシアに近いノルウェーやスウェーデンなどでも観察されるという(両国はユーロ圏外)。

なお、消費者の意見調査では、62%が現金決済の可能性を維持することが重要だと回答し、この割合は2022年の60%を上回った。特に40才以上の年齢層で現金決済重視の傾向が強い。ただし、店頭で複数の選択肢がある場合、カード決済などのキャッシュレス決済を選ぶと回答したのは55%で、現金決済を選ぶ22%を大きく上回っている(2022年の調査結果と同じ)。

KSM News and Research