困窮者救済団体スクールカトリックはこのほど公表した報告書の中で、社会福祉へのアクセス困難を問題視している。「行政当局による、行政当局のための」行き過ぎたDX推進により、しかるべき援助を得られなくなる困窮者が増えていると指摘した。
スクールカトリックに援助を求めた世帯の収入の中央値は2023年に555ユーロとなった。95%の世帯は貧困線以下(独身者の場合で月額1216ユーロ)で生活していた。収入がまったくない世帯は全体の25.4%を占めたが、この割合は前年比で2ポイント上昇し、過去最高を記録した。
収入がまったくない世帯が増えたのは、社会福祉へのアクセスが困難になったことと関係がある。2023年に同団体に援助を求めた世帯の13%は、各種給付を得る上での手続きに助けが必要だと回答しており、この割合は、10年間で7ポイント上昇している。生活保障手当の一種RSAの受給資格がある世帯のうち、36.1%は受給のための申請をしておらず、この割合は10年間で13ポイント上昇した。オンライン手続きを優先し、人間が出てこない行政機関が出来上がり、困窮者には取り付く島がない状況となっている。スクールカトリックは、受給資格が一部厳格化されたことも問題視。同団体はその上で、当局機関においてはオンライン以外のアクセスも提供し、さらに、受給見合わせの対策を積極的に推進するよう、政府に対して呼びかけた。