大手格付け会社のムーディーズは25日夜、フランス長期債務の格付けを「Aa2」に据え置くと発表した。格付け見通しは「安定的」から「ネガティブ」に引き下げた。6ヵ月以内に格下げが決まる可能性がある。
「Aa2」は上から3段階目の格付けに相当する。フランスでは、財政赤字の膨張が目立つ中で、2025年予算法案の国会審議が始まったが、バルニエ内閣は下院で過半数を持たず、財政健全化に向けた実効ある措置を打ち出せるかどうか危ぶまれている。それでも、2週間前のフィッチに続いて、ムーディーズも格付け維持を決めたことは、政府にとって朗報となった。ただ、格付け見通しはいずれも「ネガティブ」になり、政府の財政健全化の行方が監視下に置かれた格好になった。
ムーディーズは、財政収支の悪化が予想以上の規模に達しているとし、健全化に向けた反応が、同様の状況にある他国に比べて鈍いとも指摘した。フランスの利点としては、経済の規模が大きく、健全で、多様化されていることと、人口動態が相対的に良好であること、国家制度が堅固であることを挙げたが、政府が掲げた「2025年の財政赤字を対GDP比で5%に抑制する」との目標は実現できそうにないとも指摘。政府が予定する増税は実現がより容易だが、歳出削減については政治的な困難が大きいと指摘した。