新型コロナ危機を経てリモートワークはフランス企業にすっかり定着した。従業員側は自由度の高い就労体制に愛着を持つようになっており、毎日通勤体制に戻す展望はなくなっている。
ただ、曜日によって通勤実績にばらつきがあることが問題として浮上している。通勤日としては火曜日と木曜日が圧倒的に多く、週末の金曜日は特に出勤者が少ない。谷間の水曜日は、学校の休日に当たるため、やはりリモートにする人が多く、このため、フタコブラクダのような出勤実績になる。この状況だと、火曜・木曜の需要にあわせてオフィス面積を確保しなければならず、不動産資産の最適化を実現できない。社食でも曜日ごとの需要の大きな変動への対応を迫られる。ビジネス街のレストランでは、金曜日等に客足が2-3割も減り、閉店に追い込まれたところも少なくないといい、当の企業にとどまらず、広い範囲に影響が生じている。 出勤者の数を均等に近づけるための取り組みもいろいろと進められている。サノフィ(製薬)やペルノリカール(酒造)では、金曜日の出勤者を増やすために、社食での特別サービスを導入。朝食・ブランチ無料や、デザート無料などで金曜日をハッピーアワー化した。こうした取り組みは評判がいいものの、十分な効果は得られていない。より強制力のある方法は、託児手配などが課題となるため、安易には導入しにくい。リモート就労を折り込んで遠方に転居した人の場合、金曜日は列車の乗車券が高いことが多いため、金曜出勤を強要するとなると反発も大きくなることが予想される。スペースがだぶついている曜日にオフィスの一部を賃貸しして、スタートアップ企業などを受け入れるとの構想を検討する企業もあるというが、セキュリティの問題などクリアすべき課題は多い。