欧州特許庁(EPO)は10月22日、欧州の大学による特許出願に関する調査結果を発表した。この調査は、(英国やスイスなども含む広義の)欧州の1200以上の大学と、その知的財産権管理を担当する知識移転機関(KTO)を対象に、2000年から2020年までの20年間の期間における特許出願実績をまとめた。欧州出願人によるEPOへの特許出願全体に欧州の大学が占める割合は、2000年の6%前後から2019年には10%超にまで伸びており、EPOは大学の役割が強まっていると指摘した。
なお、EPOはこうした大学による特許出願を「アカデミックパテント(academic patents)」と総称したうえで、これを「直接アカデミックパテント(direct academic patents)」と「間接アカデミックパテント(indirect academic patents)」に大別している。前者は大学自体またはそのKTOの名前で出願された特許、後者は大学の研究者、スピンアウト企業、出資者、あるいは他の企業などの名前で出願された特許を指す。「直接アカデミックパテント」と「間接アカデミックパテント」の比率は、2000年には20対80と「間接アカデミックパテント」が圧倒的に多かったが、2019年には「直接アカデミックパテント」が45%を占めるに至り、その割合が拡大している。
2000年から2020年までの「直接アカデミックパテント」の出願数を国別に見ると、ドイツが2万5822件でトップにつけ、フランスが1万9265件、英国が1万3144件、イタリアが7088件で続いた。
また、一部の大学が圧倒的な役割を担っており、全体の5%に当たる大学が出願全体の半数を占めている。特に活発な大学としては、グルノーブル・アルプ大学(仏)、ミュンヘン工科大学(独)、オックスフォード大学(英)、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、コペンハーゲン大学(デンマーク)、ミラノ工科大学(伊)などがあげられる。