仏製薬大手サノフィは、仏核燃料大手オラノの医療子会社Orano Medとの間で、新世代型がん治療開発に関する提携を発表した。Orano Med(2009年設立)は、鉛の同位体である鉛212を利用したがんの放射性リガンド療法を開発している。放射性リガンドを用いた薬品は、標的となるがん細胞のタンパク質と結びつき、放射線を放出して内部からがん細胞を死滅させる。Orano Medは特にアルファ線を用いた医薬品を開発しているが、これはベータ線を用いる医薬品に比べて、標的となるがん細胞以外への悪影響が少ないという。
この機会にサノフィは、Orano Medのバイオテクノロジー部門に3億ユーロを投資し、その16%を取得する。同部門の評価額は19億ユーロに設定される。
サノフィは去る9月、Orano Medが米RadioMedixと共同開発している、アルファ線を用いた希少がんの治療薬Alphamedixの世界販売権を1億ユーロで取得したばかり。Orano MedはAlphamedixに関し、米国で臨床試験第I、IIフェーズを開始している。2026年末から2027年にかけての販売が見込まれる。サノフィは、Orano Medが保有するAlphamedix以外のパイプラインについては権利を取得しない。
なおオラノは今年2月、オナン(ノール県)において鉛212を利用した医薬品の生産拠点「ATLab」の建設を開始。6月には米インディアナポリスで同様の施設を開所している。