パリモーターショー(Mondial de l’Auto 2024)が10月14日に開幕した。20日まで開催される。
2年前の前回はドイツ、日本、米国などのメーカーが不参加で寂しいものとなったが、今回は米国、ドイツ、韓国、中国から主要メーカーがこぞって参加し、活気を取り戻した。地元勢のルノー・グループとステランティスも複数の新型EVを披露し、注目を集めている。
しかし、自動車業界自体は一連の困難に直面しており、パリモーターショーも楽屋裏の雰囲気は暗いとメディアは伝えている。新車の販売は低調で、仏市場では2024年1-9月期の販売台数が前年同期比で1.8%減に低迷。新型コロナ危機以前の2019年同期を23.2%も下回っている。EVの販売が伸び悩む一方で、仏政府は2025年予算案で、エンジン車を対象に、CO2排出量と車重に応じた新車登録税の割増強化を提案。これではダブルパンチだと仏業界団体PFAは嘆いている。欧州連合(EU)のレベルでは、2025年に自動車CO2排出規制の強化が見込まれ、EVの販売が伸びないまま、規制に違反すれば、メーカーは巨額の罰金を命じられる。コンサル大手アリックスパートナーズは罰金額の合計が2025-2029年に280億-750億ユーロに達する可能性があると試算している。フォルクスワーゲンが最近にドイツ国内の工場の閉鎖を検討し始めて衝撃を招いたが、ステランティスやルノー・グループなども「生き延び」にかかわる状況だとの危機感を共有しており、自動車部品部門への圧迫も強い。
メーカーはEV購入補助金など、EV需要を喚起する政策を各国政府に求めているが、独仏をはじめとして財政難から緊縮政策に向かっている国も多く、支援措置はむしろ削られつつある。
こうした中で、欧州への進出を目指す中国メーカーの脅威は強まっている。欧州連合(EU)は中国製BEVへの追加関税を適用しているが、中国メーカーは欧州での販売価格を引き上げずにシェアを確保しつつ、欧州での工場設置も進める構え。また追加関税は、BEVよりも人気の高いHEVやPHEVには適用されない。欧州の新車市場が縮小する中で、中国車の販売が伸びれば、欧州メーカーの苦境はいっそう強まる。