パリ市内に1年前にオープンしたセルジュ・ゲンズブール記念館がこのほど会社更生法の適用を申請した。株主間の対立が背景にある。係争の解決を待って事業は継続される。
セルジュ・ゲンズブールは歌手・作曲家で、1991年に62才で没した。パリ左岸7区のドベルヌイユ通りにある私邸は長らく、遺族によりそのままの形で保存されてきたが、隣接の建物とセットで記念館としてリニューアルされることが決まり、1年前にオープンしていた。記念館は好評を博し、予定通り年商400万ユーロを達成し、収支は黒字だが、オープンまでの投資段階における株主間の係争があり、会社更生法の適用申請に至った。
事業会社のアルテウムには、ゲンズブールの実娘で女優のシャルロット・ゲンズブール氏が代表する一族が50%を、不動産開発業のドミニク・デュトレクス氏(73)が経営の会社が50%株式をそれぞれ出資したが、シャルロット・ゲンズブール氏はデュトレクス氏を使い込みなどで提訴し、去る3月に商事裁判所から返済命令を勝ち取り、現在は刑事告訴を準備している。他方、デュトレクス氏は破産宣告済みだといい、ゲンズブール氏側では私財を整理して業者等への未払い分を立て替えたが、全額は返済できていない。会社更生法の適用を申請し、デュトレクス氏との資本関係を整理した上で、黒字事業を元手に再建の道筋をつける考えとみられる。