欧州司法裁判所はこのほど、植物由来の食品に「ステーキ」などの名称を冠することを禁じる仏政令について、欧州連合(EU)の規則に反するとする判断を下した。仏行政最高裁(コンセイユデタ)が判断を請求し、これに答えて法解釈を明確化した。
仏政府は今年に入り、畜産業界の要望に応える形で、いわゆるベジタブルミートが「ステーキ」、「ソーセージ」、「ベーコン」、「ハム」など食肉・肉類加工品の伝統的な品名を採用することを禁止する政令を制定していた。国内のベジタブルミートの製造業者らは、禁止が国内産の製品にのみ限定されていることを不公平だとして行政最高裁に政令の差し止め請求を起こしており、行政最高裁は暫定的に差し止めを決めた上で、本件審理において、欧州司法裁判所にEU規則解釈の判断を請求していた。 欧州司法裁判所はこの請求に応じて下した判断の中で、加盟国が、通常に用いられている品名や説明を、植物性タンパク質を原料とする食品において使用することを禁じることは認められないとして、仏政府の政令をEU規則違反であると指摘した。裁判所は、現行法規が、本件の場合であっても、消費者を十分に保護できる内容であるとした上で、消費者の保護が不十分であることを証明できる限りにおいて、加盟国には製造者等の責任を追及することが可能であるとの判断も示した。
KSM News and Research