パリ市は10月1日付で、ペリフェリック(環状自動車専用道)における最高速度を時速70kmから50kmに引き下げる規制改正に着手した。10日付で全線の最高速度を時速50kmに制限する。
1日付では、ポルトドルレアン(南)からポルトデリラ(東)までの区間に限り、制限速度が時速50kmまで引き下げられた。今後、標識の取り換えを順次進めて、10日時点で全線にて新たな制限速度を適用する。当面は違反行為の摘発は行わず、周知徹底を優先する。
制限速度の引き下げに伴い、二輪による、いわゆるすり抜け走行も禁止されることになる。二輪のすり抜け走行は、中央分離帯があり、追い越し車線がある専用道において、試験的措置として2021年8月より認められているが、その条件として、最高速度が時速70km以上であることが定められており、制限速度が引き下げられると許可の条件に合致しなくなる。
パリ市は、沿線住人の騒音と大気汚染の被害の軽減を目的として、この措置の導入を決めた。ただ、パリ市が含まれるイルドフランス地域圏のペクレス議長(共和党)はこの措置を、郊外居住者に不利益を被らせるものだとして批判。ペリフェリックの事実上の平均速度は時速35km前後であり、速度制限の強化で実際の影響が及ぶのは、混雑していない時間帯に限られるが、そうした時間帯に自動車通勤する郊外居住の就労者の場合、通勤に余分に時間がかかり、睡眠時間が1日につき最大で12分間削られるなどと主張している。政府も速度制限の強化には批判的な姿勢を示している。