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不法移民対策の強化に向かう欧州諸国

ドイツ政府は9月16日、不法移民対策を目的に、1週間前に予告した通りに陸上国境の全体で検査を復活させた。以前から検査を実施している4ヵ国を含めて9ヵ国(ポーランド、チェコ、オーストリア、スイス、オランダ、デンマーク、ベルギー、ルクセンブルク、フランス)との国境が対象。フェーザー内相は15日、日曜紙とのインタビューなどを通じて、長蛇の列や渋滞などを招かないようにスマートな検査を実施すると予告し、国境近辺の住民の通勤や経済活動にできるだけ支障が及ばないように配慮する姿勢を強調した。

オランダでも7月に発足した極右参加の連立政権が9月13日、非常に厳しい移民制限案を発表した。今後にオランダ議会の承認を得る必要があるが、難民申請者収容施設を設けることを市町村に義務付けている法律の廃止、家族呼び寄せの制限(特に成人した子どもの呼び寄せの不許可)などを提案。また、欧州連合(EU)の移民・難民受け入れの枠組みに関するアプトアウトをできるだけ早期に申請することも発表した。なお、枠組みは4月に改正され、欧州議会の承認を得たばかりで、当時のオランダ政府(ルッテ政権)はこれに同意していた。

また、英国のスターマー首相は9月16日にイタリアを訪問してメローニ首相と会談した際に、イタリア政府の不法移民対策の成果を称賛して、英国でも参考にすることを示唆した。イタリアは地中海をわたって自国に流入する移民を減らすために、チュニジアおよびリビアと合意を結び、資金援助と引き換えに不法移民の渡航を水際で食い止めることを要請している。またアルバニアとも合意を結び、同国に2ヵ所の収容施設を設置して、海路でイタリアに入った移民を収容し、難民審査手続きや不適格者の本国送還などを行うことを取り決めた。施設の開設は当初の予定より遅れてまだ実現していないが、メローニ首相は近日中の実現を見込んでいる。施設の開設に必要な資金はイタリアが負担し、運営もイタリアが行う予定。

伊内務省によると、2024年のはじめから9月13日までに海路でイタリアに流入した移民の数は4万4675人で、前年同期の12万5806人から大きく減少した。

スターマー首相は、イタリアがアルバニアと結んだ合意については、今後の成果を確認する必要があるとしたが、移民の移動経路に位置する国々との対等な協力関係を通じて、不法移民問題に根本から取り組むことの重要性を強調し、イタリアがこうした国際協力の取り組みで手本を示したと評価。英国はプラグマティックな姿勢で、効果のある手段を採用する方針だとした。
KSM News and Research