欧州中銀(ECB)は12日に開いた定例理事会で利下げを決めた。下限金利である預金ファシリティー金利を25ベーシスポイント引き下げ、3.5%とした。上限金利とリファイナンス金利はそれぞれ60ベーシスポイント引き下げ、3.9%と3.65%とした。ただし、最近では預金ファシリティー金利の重要性が高まっているため、リファイナンス金利などについては、引き下げの実質的な影響は差し当たりはないものとみられる。
欧州中銀は去る6月6日に利下げに転じ、それ以来でこれが2回目の利下げとなった。8月には、ユーロ圏のインフレ率は8月に2.2%まで低下し、欧州中銀が目標とする2%に近づいた。その一方で、上昇傾向を示していた賃金は、上昇率が4-6月期に4.3%まで下がった(前の期は4.8%)。インフレは全体的に抑制傾向を示してはいるが、サービス料金の上昇率が4.2%と高く、物価上昇が再燃するリスクもはらんでいる。その一方で、ユーロ圏の経済成長は減速を示しており、4-6月期の成長率は予想の0.3%より低く、0.2%にとどまった。景気刺激をにらんで再利下げに動きたいところだが、インフレ率の推移はしばらくは予断を許さない状況であり、今後の利下げのペースがどうなるかは予測が難しい。欧州中銀のラガルド総裁は、利下げの日程についての言及はせず、データを見て対応を決めるとの慎重な姿勢を維持。市場関係者のうち、次回理事会と12月の2回に渡り利下げを行うと予測する人は半数にまで減っている。
KSM News and Research