ルメール経済相は12日、経済省に職員らを集めて退任のあいさつをした。政界から退いて教員になると伝えた。
5日に指名されたバルニエ新首相は組閣人事の協議を進めており、16日の週に新内閣の顔ぶれを発表すると予告している。閣僚の中には残留を希望する者もあるが、ルメール経済相は一足先に入閣する意志がないことを明らかにした。
ルメール経済相は55才。マクロン大統領の就任直後に発足したフィリップ内閣に経済相として迎えられ、数度の内閣改造を経てもこれまで7年余りに渡り現職にとどまってきた。これは経済相として最長在職記録となる。経済相は右派の有力政治家だったが、マクロン大統領の初当選を経てマクロン支持に転じ、これまで主要閣僚の地位にとどまってきた。次期大統領を狙う野心もあったが、ここで政界からひとまず退くことを決めた。経済相は、自分の原点を、30年前にリヨン第2大学で始めた文学の教員職だったと位置付け、今度は、経済・地政学の分野で大学教員に戻ると言明。勤務先は明らかにしていないが、スイスのローザンヌ大学が7月の時点でルメール経済相と交渉中だと認めており、スイス行きが有力視されている。
財政収支が悪化し、新政権の財政運営が危ぶまれる中での退任となる。財政難の責任を経済相一人に負わせることはできないが、どう転んでも落ち着く先がある辺りは、昔ながらのフランスを思わせる。それとも、潮目が変わったら戻ってくるつもりだろうか。
KSM News and Research