フランス公衆衛生庁(SPF)は9月10日、フランス人の肥満と過体重に関する長期的な調査結果を発表し、肥満度(過体重度)が非常に高いので、予防策を強化する必要があると警鐘を鳴らした。この調査は1996年から2017年まで20年以上の期間にわたり肥満者・過体重者の割合を追跡調査したもので、特に男女別の推移の違いが鮮明になっている。
なお、肥満と過体重については、BMI(体格指数)に基づく国際的な基準があり、BMIが25以上を過体重、30以上を肥満としている。ただし、SPFの調査は主に対象者の自己申告に基づくもので、厳密な測定によるものではないため、自己申告バイアスが働いていることを考慮する必要がある。
男性では、過体重者(肥満者も含む)は1996年の40.2%が2017年には50.1%となった。1996年から2008年にかけては上昇が続き、2014年までは48%台で安定、その後2016年にかけて上昇したが、2017年には少し低下した(ただし上昇も低下も統計的な有意差ではない)。肥満者の割合は1996年の7.4%が2017年には12.9%となった。2016年まで継続的に上昇し、同年に14.5%に達したが、2017年には有意な低下がみられた。
女性では、過体重者(肥満者も含む)は1996年の25.3%が2017年には38.8%となった。継続的な上昇がみられた。肥満者の割合は1996年の5.7%が2017年には14.1%となった。
なお、2006年と2015年には身体測定に基づくデータが収集されており、それによると、男性の過体重率と肥満率は2006年に57.8%と16.1%、2015年には53.9%と16.8%、女性の過体重率と肥満率は2006年に41.4%と17.6%、2015年には44.2%と17.4%だった。自己申告値との差は男性よりも女性のほうが大きく、女性のほうが自分の過体重や肥満を過小評価する傾向が強いことがわかる。
この調査は対象期間が2017年までなため、2020年以後の新型コロナ危機の影響を調査することが今後の課題という。
KSM News and Research