仏南西地方のピレネーアトランティック県にある「アルトゥスト軽便鉄道」を地元のララン市(人口1200人)が買収した。1ユーロという象徴的な価格にて、SHEM(エネルギー大手エンジー子会社)から買収した。地元では鉄道を観光開発に活用する計画。
アルトゥスト軽便鉄道は全長10km弱。標高2000メートルの高地を走行し、風光明媚な景色を楽しめる。今年はこれまでに11万2000人を超える観光客が利用した。もとは、アルトゥスト湖のダム建設の資材と人員を輸送する目的で1920年に建設され、1930年には撤去される予定だったが、観光利用を目的に生き残った。ダムを運営するSHEM社がこれまで所有権を維持してきたが、今回、ララン市への譲渡に応じた。なおSHEMは今後も同鉄道の利用を継続し、保線費用の折半を続ける。
ララン市は2019年より、同鉄道の運営権をアルティセルビス社から買収。ちなみに、アルティセルビス社はエンジー傘下だったが、同年に投資ファンドに譲渡された。アルティセルビス社はスキー場も運営するが、ララン市のスキー場については同じ機会に同市に譲渡していた。ララン市は、温暖化にあわせて、夏季を中心にしたリゾート開発に舵を切ることを決めており、マウンテンカートの導入などに投資。アルトゥスト軽便鉄道を観光客誘致の手段として捉えて、車両などに投資し、1日当たりの輸送能力を3800人(30%強の増加)に引き上げる予定。
KSM News and Research