マクロン大統領は9月2日、首相指名に向けて一連の人物と会談した。同日中に首相指名はなされず、決定は3日以降に持ち越された。
大統領は2日に、カズヌーブ元首相、ベルトラン・オードフランス地域圏議長、そして2人の大統領経験者(オランド、サルコジ)と相次いで会談した。うち、カズヌーブ元首相は社会党を離れて独自の政治運動を立ち上げた。ベルトラン氏は保守野党の共和党に所属し、過去に閣僚経験もある。前日まではカズヌーブ元首相で決まりかとの報道もあったが、特に左派陣営内で支持がなく、2日中に本命から外れた感がある。代わって名前が浮上したのが、CESE(経済・社会・環境評議会)のティエリー・ボーデ議長で、大統領周辺からは、同氏が最有力候補だとする声も聞こえている。CESEは労使や市民社会の代表、有識者などから構成される諮問機関で、「第3の議会」とも呼ばれている。ボーデ議長は、共済保険業界の出身で左派系の人材として捉えられており、マクロン大統領が国民の声を広く聴取する目的で開催した2回の全体会議(気候変動対策、次いで尊厳死問題)の運営に協力した実績もある。マクロン大統領は、政局運営の主導権を奪われることを恐れて人選に逡巡しているとされているが、非政治家による実務家内閣ならば操縦しやすいという利点がある。ただ、国会運営ができるのかは未知数で、不信任案ですぐに倒れることがない内閣を樹立する最低限の協力を議会で確保できるかどうかはわからない。
KSM News and Research