マクロン大統領は26日午後、首相指名に向けて同日までに行った協議の結果を総括し、左派連合NFPが擁立したカステ候補の指名を見送ると発表した。大統領府が声明文を発表した。再度協議を27日より開始すると予告した。
大統領が決めた解散総選挙の結果、過半数を獲得する政治勢力はなく、そのため内閣の成立が遅れている。合計で最大勢力となった左派連合NFPはカステ候補を立ててその指名を迫ったが、マクロン大統領は、全政治勢力からの意見聴取の結果、カステ候補を首相に指名したとしても、ただちに不信任案が可決されるのは不可避であることが判明したとして、国家制度の安定性を維持するために、指名を見送ると発表した。大統領はその上で、打開策を探るために、27日から非政治家も交えた協議を再開すると予告した。官僚などを首相に起用して実務家主軸の内閣を発足させる考えともみられるが、協議に招く人物らの名前を含めて、詳細は明らかにされていない。
マクロン大統領は引き続き、左派連合NFPから左翼政党「不服従のフランス(LFI)」を引き離し、連合の他党(社会党、環境派EELV、共産党)を引き入れて、右派の「共和党」までに至る幅広い勢力から何らかの形で協力を取り付けることを望んでいるとみられるが、それがうまくゆく保証はない。左派連合の側では、カステ候補の指名見送りを民主主義の理念に反する決定だなどとして反発し、抗議行動などを開始する考えを示している。
KSM News and Research