ローヌ川渓谷地方のワイン業者が作る業界団体アンテルローヌは増産に向けた戦略変更を準備している。高級化路線で成功を収めたのを踏まえて、増産に舵を切る。
アンテルローヌには、ローヌ川渓谷地方の23のAOCワイン(コート・デュ・ローヌ、バントゥー、ジゴンダス、コンドリュー、コスティエール・ド・ニームなど)が加わっている。ワインの全般的な需要後退もあり、アンテルローヌも過去10年間で年平均1.9%の生産減を続けてきたが、同時に高級化を進めて単価を引き上げ、売上高では同じ期間に年平均4.1%の増収を達成した(年間売上高は6億3500万ユーロに)。今後は、高級化路線を維持しつつ、増産にも取り組む。
アンテルローヌの場合、輸出が占める割合(数量ベース)は37%で、10年前からは10ポイント上昇したものの、これは国内販売の低迷に由来している分もある。2035年までに、国内出荷量の後退を食い止め(年平均2.9%減を0.9%減に)、同時に輸出も含めた全出荷量を年間3.5%増やして、国内市場と輸出市場の最良のバランスの達成を目指す。輸出市場では、米国、カナダ、シンガポール、中国、韓国への売り込みにリソースを集中させる計画で、特に、過去4年間で「ワインをよく飲む」人が31%の大幅増を記録した韓国市場に注目している。増産では、需要が後退している赤(アンテルローヌでは生産の76%が赤)に代えて、白ワインを増やすのが課題となっている。現在の生産量は2200万本相当だが、2031年にこれを3900万本に増やす(年間5.6%増に相当)ことを目指す。