中国政府は21日、欧州連合(EU)の乳製品を対象に、不当な国家補助の疑いで調査を開始すると発表した。1年期限で調査し、場合により調査期間を6ヵ月延長するとした。EU加盟国による20件程度の国家補助のスキームが調査の対象になるとされ、中国政府は、オーストリア、ベルギー、クロアチア、チェコ、フィンランド、イタリア、アイルランド、ルーマニアの名前を挙げているが、仏業界団体はフランスも対象になると発表している。フレッシュチーズ、ブルーチーズ、一部の牛乳及びクリーム、サワーミルクが調査の対象となる。
欧州連合(EU)から中国への乳製品の輸出は2023年に43億ユーロに上り、EUは対中国の乳製品輸出ではニュージーランドに次ぐ第2位だった。乳幼児向けミルクが特に多いが、これは調査の対象外となっており、調査対象の製品は2023年の輸出実績で17億ユーロ相当だと欧州委員会では試算している。前日の20日には、欧州委が中国製EVを対象とする追加関税の税率に関する最終案を公表したばかりであり、中国政府がこれに対抗する形でEU産乳製品の調査を開始したのは疑いを得ない。中国とEUの間では通商摩擦の事案が数多く発生している。
KSM News and Research