新内閣の発足の遅れに伴い、予算法の成立の展望に懸念が生じている。
予算法は、政府が毎年の策定と成立の義務を負う唯一の法律であり、憲法上の規定により、10月の最初の火曜日までに国会に提出することが義務付けられている。今年は10月1日が期限となる。予算法案は閣議決定に先立ち、諮問機関HCFPの意見書を得て、さらに、行政最高裁(コンセイユデタ)による法案事前審査を受けなければならない。このため、9月の早い時期に準備を終えることが必要になる。アタル職務執行内閣は、予算上限を各省庁に通知するなどして、予算法案の準備作業を進めているが、節減の規模などを巡り、閣僚の間で見解に相違があるとも伝えられている。財政赤字総額の対GDP比を2027年までに3%以内に圧縮することを欧州委員会に約束している手前、堅実な予算法案を策定することが課題となるが、準備される法案は、次期内閣により、また国会審議を通じて大きく修正される可能性があり、予算運営の行方は判然としない。政府はまた、2024年予算法の枠内で100億ユーロ相当の追加凍結を決め、凍結規模は累積で165億ユーロに達したが、この取り扱いも次期内閣の決定次第となる。
KSM News and Research