会計検査院は7月29日、大統領府の2023年収支に関する報告書を公表した。前例のない830万ユーロの赤字を記録したと指摘。支出の膨張を問題視した。
報告によると、2023年の大統領府費用は1億2500万ユーロに上った。赤字額は準備金の取り崩しにより補填されたが、会計検査院は、このような状況は長続きしないとし、収支均衡を達成するため踏み込んだ節減努力が必要だと指摘。支出膨張の理由の一部は外的要因によるものではあるが、内的要因による支出の拡大もみられるとし、管理を強めるよう求めた。
会計検査院は特に、催事と訪問の費用の膨張を問題視。2023年の関連予算は当初予算の45%増という修正がなされ、3100万ユーロというかさ上げ後の予算はほぼ全額が支出されたと指摘。インドのモディ首相の歓迎晩餐会(41万2000ユーロ)と英国チャールズ国王の歓迎晩餐会(47万5000ユーロ)の例を挙げて、会食者の数と一人当たりの費用のいずれもが大きく増えたと説明した。大統領府の厨房の改装工事もあって、大統領官邸外での大型催事が増え、外部の業者への委託で費用が大きくかさんでいるという事情があることも指摘した。また、大統領の外国訪問の費用も、2023年に1724万ユーロと、前年(1205万ユーロ)から大きく増え、コロナ危機直前の2019年(844万ユーロ)に比べると実に2倍強に増えていると強調。もちろんインフレ高進がその一因ではあるが、それだけでなく、随行する公式及び非公式の人員が大きく増えるなど、支出を押し上げる一連の構造的な要因があると指摘した。