ルメール経済相は11日、2024年中に追加で100億ユーロの節減を実施することを決めたと発表した。各省に予算枠の縮小を通知した。
仏政府は欧州委員会に提出した中期財政計画の中で、2024年の財政赤字の対GDP比を5.1%まで圧縮する(2023年は5.5%)ことを約束している。解散総選挙後の政権発足の展望が開かれない中で、予算運営の先行きも危ぶまれている。この先の展開がどうなるとしても、赤字縮小に向かう道を指し示すことで、真剣な財政運営の姿勢を内外にアピールするのがこの発表の真意と考えられる。
100億ユーロの節減のうち、50億ユーロは中央省庁の支出削減により達成。ただし、節減努力の省庁ごと、予算項目ごとの配分などについては明らかにされておらず、決定の有効性については疑念もある。残りの50億ユーロのうち、電力会社の「儲け過ぎ」を対象とする時限課税「CRIM」の延長で30億ユーロを確保。課税強化ではこのほか、自社株買いを対象とする課税の導入(数億ユーロ)を予定する。あとは地方自治体による節減努力に期待するが、国には地方自治体に対して節減を義務付ける権限はない。
政府はこれまでに、100億ユーロの節減を追加実施しており、それに加えて、インフレ対策の特別措置として導入していた電力課税中断措置の解除(年間50億ユーロ)、処方薬の自己負担分の拡大(同6億ユーロ)を決めた。今回の発表分を加えて、総額250億ユーロ余りの節減が実現されることになる。ただ、その一方で追加の支出項目(ニューカレドニア暴動関係で4億ユーロ程度、解散総選挙の費用が1億-2億ユーロなど)もあり、財政赤字削減目標を達成するのに十分であるかは定かではない。次期政権が財政健全化に意欲を示すかどうかも未知数で、先行きへの懸念も高まっている。