パリに発足した人工知能(AI)研究の非営利団体キュータイ(Kyutai)は3日、AI音声アシスタント「モシ(Moshi)」のプロトタイプを公開した。「100%メイドインフランス」の生成AIであることをアピールした。
キュータイは、大物実業家のニエル(通信フリーの創設者)、ロドルフ・サーデ(海運大手CMA CGMのCEO)、エリック・シュミット(グーグル出身)の3人が共同出資して8ヵ月前に発足した。3氏は3億ユーロを投資。初の成果となったモシには1000万ユーロ程度の開発費が投じられた。
モシは、大規模言語モデル(LLM)の「ヘリウム」をベースとし、音源データによりモデルをさらに育てた。実際の俳優の声を出力に用いて、ウィスパーを含む70トーンという多彩な表現力を実現し、より人間らしい対応を可能にした。相手が返事をしても遮って話し続けてしまうなどの欠陥がまだあるが、レイテンシ(反応速度)は3-5ミリ秒と、競合の160ミリ秒程度と比べて格段に小さい。モシは、プラットフォーム「Hugging Face」上で一般向けに公開され、商品化に向けてさらに改良を図る。